2011年7月11日月曜日

「安定剤」というブランド

言葉からくるイメージは、バカにできない。これからは、言葉の与えるイメージを意識しないとダメなんだろうと思う。

いわゆるクリニックで「安定剤」を何種類も処方されて、長期間引っ張られたあげくに、「入院の検討も含め、今後の治療をお願いします」で締めくくられた紹介状を持たされて受診された患者さんを診る時の心境には、なんとも言えない複雑なものがある。

この多剤大量のベンゾジアゼピン系の処方について、どんな風に説明すれば、穏便に事が運ぶんだろう……、とか

クリニックを経営するからには、「客商売」を意識しないといけないところがある。それはそれで大変だし、それが処方にも影響を与えていることは、理解はできるだけれど……


患者さんの対応をしていて、精神科医から処方される薬に対する根強い抵抗感を感じることも、しばしば。

抗精神病薬なんて、当然論外。

「抑うつがありますから、軽い抗うつ薬を処方しますね」
「えっ、精神科の薬ですよね。強いんでしょう。それは、ちょっと……」
というやりとりは、珍しくない。


それに対して、「安定剤」というブランド力は、なかなかのモノである。

初診時の問診票に、受診の目的の欄に”軽い安定剤でもあれば、出して欲しい”と書いてくる人もあるくらい。
”精神科医にどんな薬を出されてしまうのだろうか?”と、不安におののく患者さんや家族に対して、「安定剤を出しておきますね」と言った時、あからさまに安心した表情に変わるのをみると、なんとも言えない気持ちになる。

「内科の先生もよく処方する安定剤」
「精神科でもよく使われる抗不安薬」
という二つの説明でのコンプライアンスや治療成績の比較、誰かやってくれないかしらん。


これだけ一般化した向精神薬に対するネガティブなイメージを無かったことにするのは、もう不可能。

マイナスからのスタートにはなるけれど、向精神薬や他の治療にポジティブなイメージを付加していくことが、建設的な考え方になるんだろうな。