2011年7月21日木曜日

自分で診ていないものは、分からないんだよね

自分自身が軽躁状態と言うわけではないけれど、己の診断能力に対して多少高めの自己評価をしてたりして……
ということで、他の精神科医の診断について疑ってかかることも、しばしばありますw

でも、患者さんを実際に診ている精神科医と、診ていない精神科医との間には、患者さんの理解について確実に超えられない壁があるということだけは、肝に銘じてます。

精神科医ですら、そんな状況。
一般の人は当たり前で、普通の(?)医療関係者でも、精神疾患の知識や理解を身につけるのは難しい。
当然のごとく、身近にいる家族からの情報でも、信頼度が低いこともしばしば。

  • お嫁さんから「ボケてきました。こんなことしたり、あんなことしたり」と言われてた、うつ病のおばあちゃん。
  • 逆に、「テレビで言っていたうつ病と一緒です。薬ください」と連れてこられたアルツハイマー病の人。
  • 近くの病院から「当院に入院後、精神病を発症しました。入院させてください。家族にも、きちんと説明しています」と紹介状をもって、準備万端で受診された、せん妄の人。しかも、受診してきたときには、せん妄状態は改善していた……
  • 総合病院勤務時代、一般病床の看護婦さんから、突然の電話。「あの人は、まったく言うことを聞かなくて困るんです。精神科の(診るべき)患者さんだから、お願いします」診てみると、内科的疾患で突然の入院になって、混乱しているだけだったりして。

こういった例は、日常茶飯事。

患者さん自身を診て、始めて状況の全体像がつかめてくることが多い。
当たり前といえば、当たり前すぎる話。



で、最近報道された、元大臣の入院の件。

リアルな知り合いとか、場合によっては職場の人から、「あの入院や診断は、どうなんでしょうかね?」と意見を求められる。
聞いてくる人の顔をみると、その人の求める答えがありありと書いている場合もあったりして。

申し訳ないけれど、
「どうなんだろうね。よく分からないね。診察した精神科医が言っているとおりじゃないの。難しい問題だよね」くらいの答えしか返せない。
がっかりされることもあるけど、それでいいんじゃないかと思っている。

マスコミやネットの情報を拠り所に、誰かの精神状態について語るのは、なんだかなぁと思うようになってきた。場合によっては、いろいろな意味で危険なんだろうな、とも。

田舎の精神病院の一勤務医が語ったところで、何がどうこうと言うことはないんだけれど。
まぁ、そんなものだ。