「統合失調症の症状って、何ですか?」と問われれば、
私は「連合弛緩、感情鈍麻、自閉、両価性」と答えたい。
つまり、ブロイラーの4Aとまとめられる、ブロイラーの基本症状。
これが大切なんだよね。
この4つの症状をみると、意外に感じる人がいると思う。
「幻聴」とか、「妄想」とか、「幻覚」といった、おなじみの言葉が見当たらないから。
でも、統合失調症じゃないだろうかと考える時、ブロイラーの基本症状を考える中心に据えて欲しいなぁ。
「幻覚」や「妄想」という言葉、ましてや、「幻覚妄想状態」と一括りにした言葉で考えていくのは、やめたほうがいい。
患者さんの状態を見失いやすくなるから。

Lost-in-Lomo / Joel Bedford
「先生。うちの会社の○○○○は、幻覚妄想状態に効果があります。この対談でも、○○先生がそう言っています。統合失調症の患者さんに使ってみてください。よろしくお願いします」
製薬会社の人などは、平気で、そんなことを言って、抗精神病薬の宣伝にやってくる。
「総合感冒薬は解熱作用があります。熱がある人には、積極的に使って下さい」
と同じように聞こえるのは、気のせいかしらん。
疾患の大切なところを考えないで、末梢的な話に終始しかねない怖さがあるんですよね。
それでも、統合失調症の基本症状として、「幻覚」、「妄想」という言葉がないと落ち着かなければ、シュナイダーの一級症状があります。
こっちの方は、「話しかけと応答形式の幻聴」「妄想知覚」などの項目があるから、まだ受け入れやすいかも。