2013年6月10日月曜日

「新しい顧客」への説明


medtoolz先生の、このつぶやきが目にとまった。




精神科の場合、「うつ病は、心のカゼです」キャンペーンが、”適切な受診の啓蒙”よりも、”新しい顧客の開拓”として機能してしまったと解釈できるかな。

「心のカゼ」問題は、こういった視点からも、考えてみたほうがいいと思う。


Dell Women's Entrepreneur Network 2013 - Istanbul / Dell's Official Flickr Page


「うつ病は、心のカゼです」というフレーズは、「病気なのに、受診しようとしない人」を拾いあげていこうという目的があった。その文脈で、「心のカゼ」と言ってた精神科医療関係者のほうが多かったんじゃないだろうか。
ところが、結果として「自分は病気かもしれないと考えるようになった人」が予想以上に多く出てきた。まさしく「新しい顧客の開拓」
もちろん、「病気かもしれない」と思う人の中に、治療が必要な人は一定の割合で存在はした。でも、その割合は高いものではなかったはず。何分にも、感度が高くて、特異性の低い手法であるわけだから。

問題は、特異性が低いのに開拓されて、病院にたどり着いた「新しい顧客」の受け皿を用意していなかったこと

「精神的な病気かもしれない」と考える人に、「あなたは、病気ではありません。正常です」と言って納得してもらうのは、難しい。
そもそも、説得するために必要な「説得力の高い、特異性の高いやり方」が、精神科的にはなかなか無いわけで。

「あなたの悩みはわかりますが、それは正常な心のあり方であって、病気ではありません」という説明を、どれだけ説得力をもたせることができるか。また、受け入れられるか、後出しジャンケンで否定されないか……
こうやって悩みだすと、なかなか難しい。
でも、どこかに落とし所をつけないといけない。
その結果が、「うつ病」の診断の拡大化であったり、場合によっては、「○○うつ病」みたいなものであったりする。



Very Curious... / weekbeforenext



「最近の外来は、人生相談にやってくる患者さんが増えた」という愚痴も、良く聞くようになったし、自分もそう思うことは少なくない。

「あなたは、別に病気じゃないですよ」と説得するやり方も、治療法と同じように磨く。それが、まずできることなのかしらん。