2013年6月13日木曜日

「母さん助けて詐欺」と「統合失調症」の共通点は……


Twitterでの、いわゆる「公式アカウント」に、警視庁犯罪抑止対策本部アカウントがある。タイムラインを見ていたら、こんなつぶやきが目にとまった。


ツイートの冒頭の「母さん助けて詐欺」を理解するまでに、少し時間がかかった。……、そういえば、「オレオレ詐欺」を変更して、これになったのか。

中途半端な名称変更って、やっぱりダメだよな



そういえば、自分が「統合失調症」の名称に慣れるまで、どれくらい時間がかかったかしらん

自分が、精神科医として仕事をし始めた時は、まだ「精神分裂病」の時代。当然、患者さんや家族へも「精神分裂病」という言葉を使って説明。
「分裂病って、何が分裂しているんですか?」って聞かれたことも、何回かあった。その度に、それなりにの説明をしていた。



mahesh's explanation / activefree


数年して、「精神分裂病」は、「統合失調症」という名称に変わった。

当初は、当然のように戸惑って、「まぁ、名前変わりましたけれど、ぶっちゃけ「分裂病」ですから……」などと言いながら、今までどおりの説明を続けていた時期もあった。
そのうち、自分が精神科医として成長したからなのか、この疾患の病態を自分なりの解釈するようになって、自分なりの理解が深まってきた。
その解釈が頭の中にある状態で、患者さんや家族に説明することを繰り返していった。
すると、不思議なことに、「統合失調症」という言葉を使うと、より上手く説明できた
「分裂病」と口にしていたタイミングで、自然に、「統合失調症」と喋っていた。

少なくとも自分にとっては、「統合失調症」という言葉の解釈が示す病態が、病気としての「統合失調症」である。
妄想めいたことを訴える患者さんを診て、この言葉を使って上手く説明できなければ、本当に「統合失調症」なのか、と診断について考えこむことも、しばしば。

こんな診断のやり方は、操作的診断基準とはかけ離れた邪道なものなんだけどね。
(必要な場面はもちろん、同時並行で操作的診断基準の考え方も忘れてはいないつもりなので、念のため)

やっぱり、精神科医としては、本筋から遠く離れたところにいる精神科医になっちゃったような気がする。思えば、遠くへきたものだ。



old country road / Rennett Stowe




話は最初に戻るけれど、「母さん助けて詐欺」というのは、この犯罪の本質を言い現せているんだろうか……
やっぱり「オレオレ詐欺」が良かったんじゃない?