2013年11月13日水曜日

癌への治療の理解も必要だが、精神科の治療も理解して欲しい

Twitter経由で、次のようなブログ記事を見かけた。

すい臓がん患者さんが語る、近藤理論への怒り|Dr.和の町医者日記


癌の治療については、非常に大切な意見が語られているので、一読することを勧める

ただ、それとは別に、どうしても看過できないことがあったので、それについて書いておく。

文中に、この患者さんが友人の医師から治療を勧められたというエピソードがある。その中で、「措置入院」という言葉が用いられている。
これに関しては、さすがに眉をひそめざるを得なかった……

非精神科医療者が、「(身体的)治療に同意しない患者さんなので、精神科に措置入院をさせて……」と考えることがある。
これは、自分でも依頼されたという実体験がある。だから、この記事の内容も、「物の例えの話として」スルーすることができなかった。

措置入院という入院形態は、精神科治療で行われる治療の中でも、最も強制力の高い入院。
だが、あくまでも「精神疾患に対する治療」が前提
対象となる人が、精神疾患ではない場合には、適応もへったくれも無いわけで…… 

逆に(?)、統合失調症などの患者さんの中には、身体疾患(それこそ、”癌”も含まれる)の治療が必要であることを十分に判断できず、治療自体を断ってしまう人も少なくない。
そういった患者さんは、手術などの適切な治療を受けないと生命に関わる状態であっても、身体科の医療側から治療ができないと断られることがある。
治療に対する本人の同意がないと治療ができないという理由であり、それも理解はしている。

ただ、措置入院を必要としないレベルの精神疾患の患者さんでも、必要な身体的治療を受けることができなくて、命を縮めてしまうケースは少なくない
こういった現実もある。
精神科医療者は、その度に、独特の悔しさというか、やるせない気持ちを味わうことになる。



Worried and solitarian / pedrosimoes7


発端となったブログ記事にでてくる「友人の医師」。
この人が、精神科医であれば、ジョークとしては筋が悪いなぁと思う。
非精神科医であれば、精神科医療に対する理解が乏しい医療者だなぁと思う。
記事のための演出部分であれば、この部分はいただけないなぁと思う。


「措置入院でもさせて、手術を受けさせるつもりだ」といった類の考え方は、精神科医療の現状とは、全くそぐわない内容なんだよね

その点は、理解していて欲しい。


ANGER! / Amy McTigue