2014年1月27日月曜日

「幻聴」という症状に、どうアプローチするか

「あなたの病気は、統合失調症です」と、患者さん本人に告知しやすい雰囲気になったのは、治療的に大きな意味があった。
本当にそう思う。

告知することで、治療の選択肢が大きく増える。

自分が医師になった当時、統合失調症という告知は慎重にするべきであるという雰囲気が強くて、なかなか告知に踏み切れなかった。だからこそ、よけいに意味があると感じてしまうのかも。

ただ、告知の問題がクリアできたら、それで終わりかというとそうではない。
次の問題は、「統合失調症は、慢性疾患という性格があるので、ある程度症状が残っていることが当然」という認識を作り上げて共有して、行動できるかどうかということなんだよね。



Coffee Break! / Evi Christodoulou




「幻聴」という症状。それに対する治療目標について考えてみる。

ありがちな「幻聴が無くなるようにする」という目標は苦しい。
「幻聴がある状態だけれど、どうやって生活をするのかを相談していく」という目標にしたい。
そのことを、患者さんやその家族にも納得してもらう。そして、具体的な方策を一緒に練っていく。そういった治療を目指していくのが理想的だ。


「声が聞こえなくなるようにしてください」という治療目標は、なかなか達成が難しい。
下手をすれば「何時までたっても、この病気が治らない」という感覚に大きく囚われてしまう。だから、苦しい。

「聞こえてきても、気にしないようにしましょう」というアプローチもある。
でも、気にしないようにと思っていても、なかなかできないのが、この症状である。
さらに、「幻聴なんて無いんだ!」、「聞こえても、気にしない!」と思うことは、現実の状況を強く否定することになる。
強い否定は、裏を返せば、強く認識して、心のなかに取り入れるということにもなってしまいがちだ。

「聞こえなくする」ことから離れて、「聞こえている中で、できることは何か?」「これくらいの幻聴はあるけれど、◯◯すればいいじゃないか」といった感じに認識が変われば、もう少しうまく行きそうな気がする。

そういった方向に導くアプローチができるようになりたい気持ちだけはある。



Nessebar Old Town, Bulgaria / Vicburton


場末の精神病院勤務の精神科医にとっては、他の人がどういったアプローチをしているのか、とても分かり難いところ。

患者さんに対して上手くいった(あるいは、上手くいかなかった)アプローチという経験が知りたい。

そういう気持ちはあるんだよね。